日本三大怨霊ゆかりの地を訪ねる
「日本三大怨霊」といわれる菅原道真、平将門、崇徳上皇。いずれも政争や戦いに敗れて悲運の死を遂げ、その後に起こった関係者の死や怪異、疫病、災害などは彼らのたたりによるものとして恐れられたのです。鎮魂のために神として祭られましたが、次第にその強い霊力は人々に利益(りやく)をもたらすと信じられるようになり、幅広い崇敬を集めました。3人にスポットを当て、3回に分けてゆかりの地を巡ります。
第2回は、京都・奈良・大阪にある菅原道真の出生伝承地を訪れます。
昌泰4年(901年)1月25日、従二位右大臣の菅原道真は、醍醐天皇の宣命によって大宰員外帥に任命されました(昌泰の変)。大宰員外帥とは筑前国に設置された九州全域を統括する地方機関・大宰府の長官代理の職ですが、当時は正規の長官代理(大宰権帥)とは区別されていました。この人事は中央政権の中心的な立場から地方の長代理への降格で、事実上の左遷でした。背景には左大臣藤原時平との対立や、道真の政治手法に密かに不満を抱いていた醍醐天皇の意向、などの説がありますが、真相は十分に明らかにはなっていません。