毎日山の旅日記

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関東・富士周辺の山絶景・金時山

 金太郎伝説が色濃く残る金時山(1212㍍)に登ったのは、2019年1月のことだ。気象庁の週間天気予報で週末が晴天となる確率が高いことを知って、いくつかの山の候補から金時山を選定した。神奈川県と静岡県にまたがる金時山には何度も登った。その経験からすると、晴れていないとこの山の魅力は半減する。

金時山山頂からの富士山 金時山山頂からの富士山

 箱根外輪山の最高峰であり、山頂付近は急傾斜の岩峰となっている。天に突き出たような頂(いただき)なのだ。かつてはイノシシの鼻に見立て、猪鼻嶽(いのはなだけ)と呼ばれていたという。

 そんな山だから展望は抜群によい。晴天の時には富士山を間近に望める。この展望がなければ、金時山は箱根の一峰に過ぎない。

白いつぼみのミツマタ 白いつぼみのミツマタ

 小田原駅前でレンタカーを借りて、箱根路に向かう。箱根駅伝と同じ山道をたどり、箱根町仙石原にある金時ゴルフ練習場の駐車場に車を停めた(有料1日500円)。駐車場の脇には、白いつぼみをつけたミツマタがあった。春が近づいていることを知らせてくれる。なんとも愛らしい。ここで身支度を整え、登山口となる公時(きんとき)神社へ。公時神社の祭神は平安時代の武士・坂田公時(さかたのきんとき)で、金太郎のモデルになったといわれる。境内に置かれた大きなまさかりを横目に見ながら、登山道に入る。

公時神社の巨大なまさかり 公時神社の巨大なまさかり

 なだらかな杉林を過ぎると、次第に勾配は急になってゆく。巨岩が真っ二つに割れた「金時宿り石」前で小休止し、さらに登り詰める。1時間余り歩くと、「公時神社分岐」に着いた。ここを左に折れれば山頂までは約20分程度だ。山頂付近はロープのついた険しい場所もある。初心者向きの山とはいえ、過去には滑落事故もあった。慎重に行動したい

奇岩・金時宿り岩 奇岩・金時宿り岩

 山頂に飛び出ると、白雪を抱いた富士山が眼前に広がった。「威風堂々」。厳父のようなその姿には、この言葉が最もふさわしい。富士のような威厳を持って生きるのは凡夫の身には難しい。だが、「そうありたい」と願い、努力することはできる。富士山を目にするたびに、励まされ、心が晴れるのは私だけではないだろう。

 目を南西に転じると、噴煙を上げる大涌谷や湖水をたたえた芦ノ湖、遠くに太平洋も見える。なんとぜいたくな風景だろう。寒気の中で、自然の大パノラマにしばし見とれてしまった。

左端の白い部分が大湧谷。中央が芦ノ湖 左端の白い部分が大湧谷。中央が芦ノ湖

 頂の山小屋「金太郎茶屋」の名物は「まさカリーうどん」(900円)だ。ささがきにしたゴボウとやわらかいタマネギ、豚肉が入っている。香辛料「ガラムマサラ」の小瓶を「お好みでどうぞ」と渡された。なかなか本格的なのだ。おいしいうどんをいただき、身も心も温まった。活力が復活したところで、富士山に見送られて下山の途についた。 【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】

 

まさカリーうどん。寒い時にどうぞ まさカリーうどん。寒い時にどうぞ

●登山ルート● 金時山に登るには、足柄峠▽乙女峠▽地蔵堂▽仙石原と4つのルートがある。今回は、仙石原ルートのうち公時神社を起点とした。このコースは登山口に公衆トイレがあるのが利点となる。トイレは山頂にもある(山頂トイレは有料)。

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〜山記者の目〜プロフィール
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを経て現在、関連会社「毎日企画サービス」顧問。
2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長

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