毎日山の旅日記

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関東(東京毎日)ステップ①高尾山(2021)

 初心者や入門者が富士山登頂を目指す「安心安全富士登山2020」のステップ1が3月14日、東京都の高尾山(599㍍)で開かれた。午前9時半、京王線高尾山口駅前には17人の参加者が集まった。低気圧が太平洋を通過しているため、あいにくの雨となった。しかし、参加者はザックや登山靴を新調し、意欲は満々だ。上村博道・山岳ガイドは参加者を前に、「雨ということで、雨の装備を使うことになります。本番の富士山までに雨具の使い方を学ぶ必要がありますので、今回は良い機会です。ポジティブにいきましょう」と語りかけた。さらに靴ひもの結び方を伝えた。上村ガイドは「(靴ひもを靴のフックに引っ掛ける時は)、上から下へ、です」と実際にひもを締めながら解説した。参加者は食い入るように見つめ、メモを取る姿もあった。
上村ガイドが靴紐の結び方を説明する 上村ガイドが靴紐の結び方を説明する
午前10時、雨の中を出発した。赤、青色のザックカバーが雨をはじく。6号路を通り、琵琶滝からは急な斜面となった。岩や木の根が露出し、歩きにくいところもあった。「足と足の幅は小さく」と上村ガイドが声をかけた。一行はゆっくりとしたペースで登ってゆく。1秒に1歩ほどだろうか。「富士山でもこのペースで登ります。早く歩くとばててしまいます」と伝えてくれた。
カラフルなレインウェアとレインカバーが並ぶ カラフルなレインウェアとレインカバーが並ぶ
何度かの休憩を挟み、小1時間ほどで舗装された1号路に合流した。雨は雪に変わった。かなりの冷え込みの中、昼食をとった。悪天候時の食事は、お弁当類ではなく、手早く食べられるおにぎりかパンがベストだ。また、冬の山行にはお湯を持参したい。ホットな飲み物で冷えた体を温めて低体温症を防ぎたい。雪の中を一行は薬王院へ進み、さらに山頂を目指した。山頂で雪はさらに激しく降り、積もり始めていた。普段なら立錐の余地もないほどの人出があるのだが、今回は人影もまばらだ。高尾山山頂の雪景色は筆者も見たことはなく貴重な経験となった。
雪景色の高尾山山頂 雪景色の高尾山山頂
それぞれが記念撮影をした後、下山へ。雪のアスファルトや木道は滑りやすい。上村ガイドは「小股で歩きましょう」と注意喚起をしてくれた。途中ケーブルカーの高尾山駅前の売店で、名物の「天狗焼」を購入する姿もあった。天狗焼は黒豆のあんこで甘さ控えめ。甘いものを食べない人にも好評だ。もちろんここでしか買えない。
高尾山名物『天狗焼』。栄養補給に最適。 高尾山名物『天狗焼』。栄養補給に最適。
午後2時半には高尾山口駅に帰り着いた。一行は終始しっかりとした足取りで、足並みに乱れもなかった。50代の女性は「ぜひ富士山に登りたい。ステップ2も参加します」と意気軒高だった。千里の道も一歩から。そして、富士山を目指す旅が始まった。【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】(2020年3月14日登頂)
雪が激しく降る中、無事帰路に 雪が激しく降る中、無事帰路に
【富士登山のために1・3種の神器】登山の3種の神器は、ザック、レインウェア、登山靴のことだ。いずれも登山道具店で専用のものをそろえよう。ザックや登山靴はそれぞれ2万円前後する。レインウェアは2~3万円ほど。さらにヘッドランプ、ザックカバーも必要となる。それぞれの説明は次回以降記したい。
日本一登山客が多い山は実は高尾山。 日本一登山客が多い山は実は高尾山。
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〜山記者の目〜プロフィール
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長

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