毎日山の旅日記

毎日新聞旅行

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関東安心安全富士登山ステップ3・筑波山

 関東の名峰・筑波山(877㍍)は、万葉集や奈良時代に編纂された「常陸風土記(ひたちのくにふどき)」に登場する。1000年以上も前から人々を魅了し、親しまれてきた。万葉集に、暑い最中に汗をかき、木の根をつかみ必死に登ったと描かれている。「今と同じだ」と、何とも言えない親しみがわく。
筑波山・男体山からの眺め。関東平野を一望できる 筑波山・男体山からの眺め。関東平野を一望できる
 2022年5月10日午前9時半、筑波山の一峰、女体山の登山口・つつじが丘に23人の男女が集まった。「まいたび(毎日新聞旅行)」の「安心安全富士登山教室ステップ3」の参加者だ。同教室は低山から毎月ステップアップし、夏の富士登山を目指す。参加者はステップ1の高尾山(599㍍)、ステップ2の丹沢・大山(1252㍍)と歩いてきた。筑波山は日本百名山にも選定されており、より本格的な登山となる。小田口尚史・登山ガイドがコースを説明した後、「汗をかきますので、涼しいくらいの服装で出発しましょう」とアドバイスした。「急な階段を登ります。前の人と間隔をあけてください」「歩く順番は申し上げませんが、高尾山、大山で苦労された方は(列の)前の方で」と付け加えた。
岩場を慎重に登る参加者 岩場を慎重に登る参加者
一行がゆっくりと斜面を登ってゆくと、深紅のツツジが登山道の左右に現れた。「きれい」と参加者からはため息が漏れた。山頂に近づくにつれて、登山道は傾斜を増してきた。「あわてなくていいですよ。マスクを外して、ゆっくりと」と声をかけた。岩場の通過時には「足全体が岩に乗らなくても、つま先が乗れば立ち上がれます」とアドバイスした。休憩時には「ザックを下ろして背中を休ませてください」と声をかけた。
深紅のツツジが咲き誇る中を筑波山へ 深紅のツツジが咲き誇る中を筑波山へ
そして、午前11時50分ごろ、一行は女体山(877㍍)に到着した。平日とはいえ多くの登山者がいた。関東平野を一望に見渡せる。だが、山頂は崖上にあり、転落の恐れがある。順番に山頂標識の傍らに立ち、記念写真を撮った。女体山を下り、一行は鞍部の御幸ヶ原へ。御幸ヶ原はケーブルカーの山頂駅もあり、茶店も立ち並ぶ。ここで昼食をとり、男体山(871㍍)へ向かった。男体山へは10分程度の道のりだ。山頂からは関東平野が眼下に広がり、霞ケ浦も見えた。参加者からは「良い眺めだ」「関東平野って平なんですね」と感嘆の声が上がった。
女体山山頂 女体山山頂
この後、御幸ヶ原に戻り、下山にかかった。小田口ガイドは「下山は2時間かかります。(前後の人と)間を空けてください。自分が転んでも周囲の人にけがをさせないように」と話しかけた。階段や木の根のある道を一行はゆっくりと降りた。下山口まで1㌔程度のところで休憩した際には、「疲れが出てきていると思うので、自分でストレッチをしてください」と注意喚起した。午後3時45分ごろ、一行は筑波山神社に到着し、安どの表情が広がった。 次回ステップ4は、こちらも日本百名山のひとつ、大菩薩嶺(2056•9㍍)を予定している。いよいよ標高は2000㍍を超える。女性の参加者は「次もぜひ登りたい。夏には富士山です」と意欲的だ。
にぎわう御幸ヶ原 にぎわう御幸ヶ原
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〜山記者の目〜プロフィール
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長

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