毎日山の旅日記

毎日新聞旅行

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東京都安心安全富士登山 ステップ①高尾山

 高尾山(599㍍、東京都八王子市)には、1600種類以上の植物が生息しているという。英国よりも多いという説もある。大都市・東京に接しながら、豊かな自然に触れられるのが魅力だろう。花々が一斉に咲き誇る季節に登りたい山のひとつだ。
 春も盛りの2023年3月30日午前9時半、京王線高尾山口駅前に40人近い男女が集まった。毎日新聞旅行の「富士登山教室」の参加者だ。教室は、登山初心者が夏の富士山山頂に立つことを目標にしている。3月に開講し、毎月の登山では低山から徐々に標高を上げてゆく。体力や登山の技術を身に付け、夏には日本一の頂(いただき)を踏破する。どの顔も緊張した面持ちで、「山登りは全く初めて」「何を準備していいのか分からない」と不安を口にしていた。38人の参加者が集まったところで、付近の広場に移動した。芝生の上で、登山靴の履き方、靴ひもの結び方、ザックの担ぎ方を学んだ。豊岡由美子・登山ガイドが「片膝をついて、または椅子に座って靴ひもを締めて」「ザックは腰で背負います」とアドバイスをした。
ザックの背負い方を伝える西山智弘ガイド(右)と豊岡由美子ガイド ザックの背負い方を伝える西山智弘ガイド(右)と豊岡由美子ガイド
 10時半、「さぁ、出発です」の声と共に歩み始めた。高尾登山鉄道・清滝駅前を横目に見て、6号路と呼ばれる登山道を目指した。
15分ほど歩くと、その入口に着いた。「ここからは本格的な登山道になります。暑くなりますので、衣服を調節してください」と伝えた。さらに「登山は長い時間を歩きます。細かな水分と栄養補給が大切です」と語りかけた。フリースやジャンパーをしまい込み、水を口にした人々は、豊岡ガイドを先頭に一列で歩き出した。11時過ぎ、琵琶滝に着いた。琵琶滝から先の登山道は急傾斜になり、露出した岩の上を歩く。豊岡ガイドは「ここからは急な登りになります。ゆっくりゆっくり歩きます」。さらに「歩幅は狭くして、低い段差を選んでください」と声をからした。
木の根が露出した登山道を歩く 木の根が露出した登山道を歩く
 初めての山登りという人が多いせいか、時折ため息が聞こえた。休憩を挟みながら1時間近く歩き、稜線の1号路と合流した。足元は歩きやすいコンクリートになった。高尾山駅前でトイレ休憩の後、山頂へ。〝高尾山のバンクシー〟と言われる切り株アートや、杉の巨木「蛸(たこ)杉」など見どころも多い。シャガやスミレの花が咲き誇り、一行を出迎えてくれた。
高尾山のバンクシーの作品として知られる切り株アート。毎月作品が変わる。作者は不明だ。 高尾山のバンクシーの作品として知られる切り株アート。毎月作品が変わる。作者は不明だ。
シャガも咲き誇る シャガも咲き誇る
午後1時50分、一行は山頂を踏んだ。平日でも大勢の観光客、登山者でにぎわっていた。晴天だが、雲が多く、残念ながら富士山は見えなかった。一方、ステップ2の大山(1252㍍、神奈川県伊勢原市など)は遠望できた。端正な三角すいの山容に、男性参加者は「次に登るのはあの山ですか」と気を引き締めた。
 山頂で各自が昼食をとった後、下山を開始した。帰路は、4号路を歩いた。急な下りと落差の大きな階段が出てきた。「そーっと、つま先から(足を)下ろします。ドスンと下りてはダメですよ」と注意が飛んだ。高尾山で唯一の吊り橋「みやま橋」を渡った。橋はゆらりゆらりと左右に揺れた。
高尾山山頂 高尾山山頂
 午後4時10分過ぎ、一行は清滝駅近くにたどり着いた。付近の広場で、質問会が開かれた。次回の大山での持ち物について質問があった。豊岡ガイドは「飲み水、雨具は必ず持ってきてください」「富士山も晴れだったり、雨だったりします。どんな天気でも歩けるように準備をしましょう」と話し、山旅を終えた。
1号路に合流し、都心方面を見ると、山々が桜のピンク色に包まれていた 1号路に合流し、都心方面を見ると、山々が桜のピンク色に包まれていた
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〜山記者の目〜プロフィール
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長

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