毎日山の旅日記

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静岡毎日登山塾ステップ⑥富士山(第2回)

 「靴ひもなどの準備はいかかですか」。2023年8月20日午前5時前、宿泊した富士山五合目の山小屋・佐藤小屋の前で、ベテラン登山ガイドの高山宗則さんがザックを背負った18人の男女に声をかけた。登山初心者が富士山を目指す「毎日登山塾」(毎日新聞旅行・大阪主催)の受講生たちだ。今年3月から訓練登山を繰り返し、ついに富士登山の日を迎えた。
宝永山で集合写真 宝永山で集合写真
「いよいよ挑戦です」「今までで一番しんどい登山になります。が、やってきたことをそのままやれば大丈夫です」と励ました。「さぁ、出発しましょう」の掛け声で一歩を踏み出した。
七合目の山小屋が良く見えるが、山頂ははるか遠く 七合目の山小屋が良く見えるが、山頂ははるか遠く
 五合目を出発し、吉田ルートで山頂へ向かう。山頂到着後は御殿場ルートを下り、山小屋・赤岩八合館で二泊目とする。そして、21日には富士山の側火山・宝永山(2693㍍)を経由して下山という行程だ。ポイントは、佐藤小屋~山頂~赤岩八合館の長丁場を1日で歩き切ることにある。歩行時間は10時間を超える。体力勝負の山行になるだろう。
雲ははるか下に 雲ははるか下に
 高山ガイドを先頭に登山道をゆっくりと歩んだ。「息が切れやすくなりますが、しっかり息を整えて」「あわてず、しっかり登りましょう」。高山ガイドがアドバイスを続けた。岩場では、「手でしっかりと岩をつかんで」との掛け声が飛んだ。午前9時45分、標高3200㍍の山小屋・白雲荘に着いた。小屋の前は広場になっており、ベンチもある。「ここで長めの休みを取ります」と伝えた。青い夏空に、白い雲が浮かび、吹く風も涼しい。参加者は水を飲み、行動食を食べるなどして英気を養った。
岩場の不安定な足場を歩く 岩場の不安定な足場を歩く
 小一時間の休憩の後、再度の出発となった。同11時22分、本八合目の山小屋前に着いた。無数とも思える階段や岩場を乗り越え、疲労の色がにじんでいた。「ここが頑張りどころです」「山頂はもうすぐです」と高山ガイドは激励を繰り返した。岩と小石、砂地の急傾斜が続く九合目付近では、「体力残っていますか。気持ちだけで山頂に行きますからね」と力を込めた。
山頂が目の前までやってきた 山頂が目の前までやってきた
 そして、午後1時、1人目の女性が頂に立った。満面の笑みで高山ガイドとタッチをした。次々と山頂に到達し、「着いた」「やった!」「ありがとうございました」と喜びあった。そして、全員が日本一の山頂に立つことができた。8月3日発の第一陣25人とあわせて、登山塾はすべての参加者が山頂を踏破した。
吉田口の山頂でグータッチをする高山ガイドと参加者 吉田口の山頂でグータッチをする高山ガイドと参加者
 初老の男性は「8~9合目がきつかったが、登ることが出来て良かった。(訓練登山の)ステップ1から続けて山に登り、体力がついたおかげだと思う」と語った。中年の女性は「しんどかったが、富士山に登れてよかった。私にとって38年ぶりの登山でした。次は伯耆大山(鳥取県)に登りたい」と話してくれた。快晴の富士山頂に、喜びの声は尽きることはなかった。
富士山登頂をお祝いするかのように虹がかかる 富士山登頂をお祝いするかのように虹がかかる
翌日も無事ご来光が見れました。お疲れさまでした。 翌日も無事ご来光が見れました。お疲れさまでした。
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〜山記者の目〜プロフィール
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長

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