庭園にはその国の文化や歴史、価値観や美意識が詰まっています。世界中の庭を見てまわり、独自のユーモアあふれる切り口の解説が人気の庭園デサイナー、烏賀陽百合先生の案内で先生の地元京都を中心に庭園を訪ねるシリーズ。初心者にもわかりやすく楽しい解説を聴きながら名庭園を鑑賞すれば、今まで気付かなかった景色が見えてきます。
岡山県高梁市を訪れ、江戸初期を代表する名作庭家小堀遠州が作庭した名勝頼久寺庭園と、昭和の名作庭家重森三玲が手掛けた庭を再生した「驢庵露地東氏庭園」(ろあんろじ・ひがししていえん)を鑑賞します。隣の総社市にある巨岩奇岩の渓谷豪渓(ごうけい)も訪ねます。
頼久寺庭園は江戸時代の初め、小堀遠州が幕府の備中代官として頼久寺で政務をとっていた時期(1605年ごろ)に作庭したと伝わり、遠州の初期庭園の代表作です。「鶴亀の庭」とも呼ばれる蓬莱式枯山水庭園で、中央奥に鶴島と亀島を配し、砂紋を描いた白砂で海原を、また遠州ならではのサツキの大刈り込みで青海波を表現しています。
驢庵は地元の開業医、東照平氏(故人)のお屋敷の庭で、重森三玲が1955年に作庭。枯山水と茶室からなります。年を経て次第に荒廃が進んだため、孫の東良平氏が中心となって再生を計画しました。資金の一部はクラウドファンディングで募り、重森三玲の孫で造園家の重森千靑氏をはじめ造園・建築関係者、学識経験者、行政などが協力。2025年10月、作庭当時の姿がよみがえりました。
豪渓は高梁川の支流槙谷川の上流にあり、数知れない巨岩奇岩絶壁の岩石美と生い茂る木々、清流が織りなす渓谷美は日本五大名峡の一つに数えられています。総社市、高梁市に隣接する吉備中央町に生まれた重森三玲は作庭において豪渓の景色から影響を受けたといわれています。
昼食は高梁市の高梁国際ホテルで和食をお召し上がりいただきます。